進研ゼミ漫画の感想(92D203-C)

当たりの進研ゼミ漫画を引いたので感想を書きます。

最近会社の主任が娘に届いた漫画を譲ってくれるようになったが、それにより会った事も無い主任嫁と主任娘からキモ後輩のレッテルを貼られたらしい。トホホ。


今回引いたのは「92D203-C」

この製造番号、多分Dの前にある数字の下1ケタが対象学年で後ろの下2ケタは締め切り月を表しているっぽいことを最近発見した(この場合92→2年、203→3月)。
飲み会ネタに使って良いですよ。
例外もあるのでこの辺は時間がある時に考えます(常に暇です)。

この漫画の魅力は
・個性的なキャラクターによる軽妙な掛け合い(小ネタ・台詞回し含む)
・類似作品の無い展開

の2つです。詳細を以下で説明します。

【主人公】

矢沢紅葉
f:id:say4:20200326002907j:plain

ツカみで主人公が叫んでいる漫画は大抵恵まれた導入からクソみたいな内容となる琴浦さんの様ながっかりアーキタイプとなるので期待していなかったが、表情が豊かでリアクションがデカいのでちゅき。私は醜い豚です。
詳細は後述します。

【竿役】

堀左京
f:id:say4:20200326002926j:plain

ガリ勉委員長だが、ある秘密がある。

ゼミ漫画には珍しい漫画的なキャラ。委員長キャラもいないことは無いが、語尾に「たまえよ」とか設定するのは原作がこっ恥ずかしがっているのか、割と珍しい。

確かに宣伝漫画作ってね~とか上司のオッサンから言われて語尾に「~たまえよ」付けるキャラ考えてジジイばかりの役員に稟議通すのはこっ恥ずかしいと思う。
「こんな人現実にいないでしょ~」とか言って突き返されたら裏垢で会社の愚痴言いまくるし給料変わらないなら代案を一生懸命考えるのも二度手間ですからね。

【展開】

主人公がエスクラ(エスクラって何?)の担当を外されそうになるまではアーキタイプな展開が続くが、
f:id:say4:20200326012141j:plain

主人公が楽譜を印刷しに来る場面から流れが一転します。
f:id:say4:20200326012325j:plain
f:id:say4:20200326012403j:plain

委員長キャラは効率化という趣味を楽しむ為の演技だったことが判明。
この展開は本当に珍しい。

アニメや漫画に触れすぎたオタクの皆さんにとって「真面目人間が実はサボり魔だった」展開は大した衝撃では無いかも知れませんが、こと進研ゼミの漫画というフィールドにおいて過去を振り返ってみると類似する作品を思いつく事は難しいんじゃないでしょうか。

6ページ目のこの時点で、原作者が読者の学生を少しでも楽しませようとするガッツを持った担当者であることが判明する。


今後この設定をどの様にテンプレに当てはめどの様に展開していくのか、原作者が設定段階で力尽きアーキタイプに逃げるのか、最後まで展開に一捻り加えていくのか、予想が付けにくくなると同時にハードルが上がっていきます。

読み進めながら徐々に原作者のガッツが見えてくる高揚感、この原作なら予想を超えてくれるはず、ページをめくった先に予想通りの展開が訪れるか否か、これこそがゼミ漫画の醍醐味だと思います。
10連ガチャ引いて金卵の中にプラチナ卵がチラ見えした時の感覚に近い。

 
主人公は秘密保持の見返りに委員長に弟子入りし、以後この関係を軸にストーリーが進行していきます。
f:id:say4:20200326015236j:plain

大正コソコソ噂話
委員長のビジュアルと二面性がTwitter未成年女オタクさんの性癖に刺さったらしく現在「進研ゼミ 漫画」で画像サーチすると委員長の画像がそこそこ引っかかるよ。
※ゼミ漫画の本編画像付きツイート自体が希少なのでこれでも多い方だよ。

岡本倫の女編集が言ってたそうだけど女読者さんはSキャラが好きらしいよ。
なのでその後岡本倫は女の腕をバキバキに折るキャラを本編に登場させたらしいよ。

先述した通り本作品の魅力の一つがこのキャラ達による掛け合いです。
進研ゼミの宣伝部分は非常に退屈(失礼)なのでここで読者を引き付けられる漫画は強い。


まず今作の主人公の言葉遣いは少し独特というか、アーキタイプでは中々使われる事の無い表現が頻出する。

f:id:say4:20200327003020j:plainf:id:say4:20200327002612j:plain

「やべ、あたしか」「超怒られてやめたんだよね・・・」

f:id:say4:20200327003034j:plainf:id:say4:20200327002531j:plain


「ぜっっっって~~~勝つ!(うずまきナルト)」「ほんとにどうすっかなぁ・・・」

 f:id:say4:20200327002631j:plain

「ガチギレするじゃん・・・」

言語感覚が大分若いというか、等身大な感じがするんですよね。ちゅき。
あまり砕けた表現を使うのはやめようみたいな考えの上層部がコロナで死んだらしい。

この人間味のある主人公が強力な個性を持つ委員長と行う掛け合いが本作の特徴であり、中でもとりわけ印象的なのが委員長による進研ゼミの紹介シーン
f:id:say4:20200327004324j:plain

メタネタを繰り出してきます。これはかなり異質です。

勿論ベネッセ内部ではアーキタイプの共有がされていると思いますが、こうしてセルフツッコミを入れそれを各家庭に届けられるほど風通しの良い社風とは思ってませんでした。
モンペのオバ=サンとかに因縁付けられるの避けて無難な表現しか許可してこなかった上層部がコロナで死んだらしい。
メタネタを入れれば多少話題になるだろうという原作の掌で踊らされるのは少し癪ですけどね。


その後進研ゼミを始め人生上手くいきだした主人公の隣に新たな竿役が登場します。
f:id:say4:20200327005610j:plain
f:id:say4:20200327010204j:plain
f:id:say4:20200327010325j:plain

この一連の流れもこの漫画ならではだと思う。

通常、アーキタイプにおける男女ペアの作品の場合エンディングは「恋愛エンド」「男女の友情エンド」が一般的でありそこから様々なパターンへ派生する事で微妙に各漫画の個性が出てきます。

この漫画の場合、18ページ目にして登場した新竿役が恋愛エンドの担当となるフラグを臭わせつつも、感謝の言葉をぶつける主人公に対し意味深な表情を向ける委員長の顔アップを一コマ挿入。勿論メタネタも挿入。

これはどういう意味でしょうか?
委員長が赤面していれば委員長&主人公ペアのフラグも立ちますがそうではない、なら委員長の心情は果たして?主人公の感謝に深い意味はあるのか?
アーキタイプから随分離れてしまったこの漫画だからこそ最後までどうなるか分からない。この原作者だからこそ裏をかく展開にするのでは?

と、ゼミマンガをそこそこ読んでいる人間ほどオチが予想できなくなっていく構成となっています。

 
その後ノルマである部活成功シーンを淡々とこなし人間関係部分で謎のフラグを立てる。

f:id:say4:20200327012205j:plain
そもそも普通は"定期演奏会"を山場に持ってくる

主人公の定期テスト成功後。
ここからは最大の盛り上がりどころであるラストシーンに突入していきます。アーキタイプであれば部活の大会が始まるシーンですね。
f:id:say4:20200327012214j:plain
f:id:say4:20200327012829j:plain

人間関係で山場を作る作品は他にも沢山存在します。大抵の場合喧嘩した友達と仲直りするとかそんな感じです。

ただこの作品ではあくまで喧嘩ではなく、自己犠牲に走る委員長を見るに見かねた主人公が、漫画のテーマでもある「効率化」について諭しながら委員長との関係を強化するイベントに仕上がっています。

このシーンは主人公と竿役の関係を安易に「幼馴染」や「中学が同じ」に設定しなかったことで描写の説得力がより増していると思う(何様?)。
テスト前から徐々に仲良くなって、本音で話し合える人間関係が構築されていく過程を読者も共有できる。

大正コソコソ噂話
青山剛昌が幼馴染大好き人間なのは話を作るのが楽だかららしいよ。

そしてラスト

f:id:say4:20200327013047j:plainf:id:say4:20200327013204j:plain
ドピュッ

友情エンドでした。

コーヒーを奢ってくれる委員長に対し「いい友達はできたかな」と、この段階では好意を抱いてない事をハッキリさせた点が好き。
だって藤波辰爾が彼女持ちだと知った直後にブァッ!!と背景に花が咲いて委員長にときめいたりするのは切替が早すぎてビッチみたいになるから違うので!

ただ、最後まで委員長の真意は不明なので最後の横顔は好意とも読み取れるし単に恥ずかしがっているだけとも取れます。

笑いながら気持ちを切り替えたらしい(早くね?)主人公と悪態をつきながらもまんざらじゃなさそうな委員長というラストは二人のこれからを想像する余韻が残る深い締め方だと思います。
スケベが大好き~(Massive New Krew)

【まとめ】
そもそもこの漫画のノルマ演出(教材使用、母親説得等)自体はかなり普通です。

それでもこの漫画には軽い読み口と新鮮な展開で最後まで楽しむことのできる
f:id:say4:20200328042634j:plain
アーキタイプとどの様な違いがあるか、といったメタ的な読み方をすることで無料の漫画をここまで楽しむことができる。
進研ゼミの漫画は読み方が分かればとても面白いです。
嘘喰いの方がもっと面白いです。

オナ禁始めたので応援よろしくお願いします。

ここまで読んで頂きありがとうございました。